この記事は、次のような人におすすめです。
- 自分の目的に合った英会話アプリを見つけたい
- 払うお金に見合う効果を実感したい
英語学習ツール選びに大切なのは、覚えたことを使えるようにする機能が充実しているかどうかです。
なぜなら総学習時間のうち、AIや講師が教えてくれる時間は約1割で、残り9割は地味な反復練習だからです。
そこで今回は、ユーザビリティ(使い勝手の良さ)に着目した語学習得ツールの選び方を紹介します。
ざっくり言うと、評価点数が高いツールほど、ストレスなく練習をこなせます。
価格を評価点数で割ると、そのサービスのコストパフォーマンスもわかります。
最適なツールの組み合わせを最小限のコストで揃えたいと思う人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
【この記事を書いた人】
ITエンジニア系英語オタクです。米国企業での実務経験10年以上。アメリカには仕事で3年住みました。ブログを通じて「今すぐ英語を話せるようにならないとやばい人」へサバイバルキットの提供を目指しています。
日本人が英語を話せない原因は「音を間違って覚えているから」
ところで「大人のやり直し英語」がうまくいかない理由は何だと思いますか?
その最大の原因は、「間違った英語の音が脳に染みついているから」です。
中学高校時代に英語で良い点を取るには、英文を読んで意味を理解し、答えを選べば良かったはずです。
問題を小声で読んでいる時のジャパニーズアクセントは点数に影響しませんでした。
そのツケが、大人になってリアル外人に接した時に顕在化することになります。
日本人の英語習得順序は「聞いて、読んで、話して、書く」
英語の学び直しでは、まずネィティブとの発音の違いに気づくことが大事です。聞き取れない言葉は発音できないので、他の技能にも負の連鎖をしていきます。
つまり日本人の英語習得順序は、聞いて、読んで、話して、書くです。
「英文を見ずに耳だけで音がとれるか」が出発点です。
AIやオンライン講師も「音がこう違う」と教えてくれるでしょう。しかし、たとえ理解できたとしても、実際にその発音、アクセント、リズム、イントネーションで発話できるようになるには相当な回数の反復練習が必要です。
やるのは自分自身。だから習った後の自主トレーニングが楽にできるツールを選ぶべき、というのが僕の考えです。
学習メソッドを整理してみた
世の中の英語学習メソッドを表にまとめてみました。AI英会話アプリであれ、オンライン英会話のカリキュラムであれ、これらのメソッドのどれかが必ず含まれています。
メソッド | やり方 | 目的 |
耳コピ | 音声をそのまま口で再現 | 脳内発音の矯正 |
精読 | 英文を細部まで確実に理解する | 聞き間違いの顕在化 |
スラッシュレーディング | チャンクごとに前から訳す | 返り読みからの脱却 |
read, lookup and say | チャンクごとに暗唱 | 文章構造の理解 |
音読 | 英文を声に出して読む | 文字・音・意味の同時理解 |
リピーティング | テキストを見ながら復唱 | 単語や慣用句、英語表現の習得 |
オーバーラッピング | テキストと同時に発話 | 発音、イントネーション、リズム、アクセントの習得 |
シャドーイング | テキストを見ずに追尾 | 同上 |
リプロダクション | 1センテンス丸ごと再現 | アウトプット力の育成 |
ディクテーション | 音声の文字起こし | 苦手箇所の明確化、予測能力の向上 |
英語日記 | 日々の出来事の英作文 | アウトプット力の育成 |
瞬間英作文 | 和文を見て即座に英訳 | アウトプット瞬発力の向上 |
スピーチ録画 | スピーチ原稿を作り録画 | アウトプット力の強化。間やジェスチャー、表情、アイコンタクト |
多読 | 文献を大量に読む | 海外に関する知識の充実 |
これらのメソッドを効率よくこなすために必要な機能を整理すると、ユーザーが求める使い勝手の良いツールの要件が見えてきます。
使い勝手の良さを5つの切り口で分類
まず、使い勝手の良さを5つの観点で定義しました。
ざっくり言うと、自分の好きなコンテンツをインプットし、反復練習を通じてアウトプットできるようになる、その手助けをしてくれるツールが使い勝手の良いツールです。
英語学習者が期待するユーザービリティー(使い勝手の良さ)とは
- コンテンツの充実度
自分が楽しめる、没頭できるコンテンツで学習できる環境かどうか
自分の今の実力に合ったコンテンツかどうか
- 反復練習の効率化
練習したい箇所を手軽に繰り返し再生できるかどうか
- 発音の基礎固め
発声、発音、発話の矯正ができるかどうか
- アウトプットの効率化
お手本と自分のアウトプットの差を的確に把握できるかどうか
- 学習インフラの提供
辞書検索が素早くできるか、単語と文法を効率よく習得できる環境か
具体的な機能要件は17項目
上述の5つの観点をさらにもう1レベル細分化したのが以下の表です。これに点数をつけました。スコアは100点満点で、それを5つのカテゴリに分配し、さらに明細単位で均等配点しています。
期待するユーザビリティー | 機能要件 | 配点 |
コンテンツの充実 | 音声/動画/テキストのインポートと教材化 | 6.6 |
コンテンツの充実 | レベルに合ったカリキュラム提供 | 6.6 |
コンテンツの充実 | 目的に沿ったカリキュラム提供 | 6.6 |
反復練習の効率化 | 早送り、巻き戻し、ポーズ | 5 |
反復練習の効率化 | 再生速度コントロール | 5 |
反復練習の効率化 | 区間ループ再生 | 5 |
反復練習の効率化 | カラオケモード再生 | 5 |
発音の基礎固め | 声の響かせ方、共鳴させる場所 | 6.6 |
発音の基礎固め | フォニックス、発音記号、口の形、舌の位置 | 6.6 |
発音の基礎固め | アクセント、イントネーション、リズム、トーン | 6.6 |
アウトプットの効率化 | 自分の声の録音、お手本音声との比較、添削 | 6.6 |
アウトプットの効率化 | 英作文の取り込み、添削、代替表現の提案 | 6.6 |
アウトプットの効率化 | フリートーク環境の提供 | 6.6 |
学習インフラの提供 | 辞書検索の効率化(ワンタッチ検索、英英、英和、発音) | 4 |
学習インフラの提供 | 単語暗記の効率化(新出/既出単語のハイライト、単語帳の自動作成、復習リマインダ) | 4 |
学習インフラの提供 | 文法解釈支援(文法解説、例文提示) | 4 |
学習インフラの提供 | 学習履歴の統計 R時間、L時間、新規単語登録数、S時間、W時間、WPM、習得語彙数 | 4 |
このスコアカードを使ってアプリやスクールを評価すれば、各々の特徴がひと目でわかるようになるはず。
- 点数の高いツールほど機能が充実していて、網羅性が高い
- 価格を点数で割れば機能あたりのコストがわかるのでコスパの比較が可能
- 複数のツールを組み合わせて機能を補完し合い、ベストな環境を作れる
検証: 実際にLingQ, Gymglish, Plangを評価してみた
過去に記事掲載したLingQ, Gymglish, Plangを評価してみたところ、以下の通りとなりました。
ユーザビリティー総合得点とコストパフォーマンス
同じ「英語学習ツール」でも結構違いますよね。
ツール名 | 総合得点 | コストパフォーマンス |
LingQ | 66 | 254円/機能 |
Plang | 64 | 201円/機能 |
Gymglish | 42 | 1,381円/機能 |
LingQはコンテンツの充実に力を入れていて、Plangはアウトプットをサポートする機能が充実。Gymglishは学習インフラ、特に文法の習得まで視野に入れています。
Gymuglishのコスパが悪い理由は、穴埋め問題や読解など、従来型の勉強スタイルがメインで、習ったフレーズが身につくまで自主的に反復練習できる環境に乏しいからです。
どのツールも、日本人が一番苦手とする発声やリズム、イントネーションなどの練習をサポートする機能が不足しています。
足りないところを補完する別サービスを探す
今回詳細は割愛しますが、例えばPlangに発音矯正スクールのGBボイスアカデミーを組み合わせると、理想に近づいていきます。Plangが提供するコンテンツでOKなら、Plang+GBの組み合わせが最適解です。
英語習得の目的がはっきりしている人、例えば「このYoutubeチャンネルで学びたい」など具体的コンテンツがあるなら、LingQのインポート機能を使って教材化するのが一番です。GBのYoutubeチャンネルもインポートして教材化できます。
まとめ
- 日本人が英語を話せない原因は「音を間違って覚えているから」
- 日本人の英語習得順序は「聞いて、読んで、話して、書く」
- 使い勝手の良さを5分類、17項目でスコアカード化
- 検証: 実際にLingQ, Gymglish, Plangを評価してみた
- ツールごとの得意分野、苦手な分野がわかる
- 「勉強の復習」とは別に、知識を身につけるための反復練習機能が必要
- 評価チャートを見れば足りない機能の補完を検討できる
- 今後このチャートを使って様々なサービスを評価していく予定
- 各アプリの強みと弱点が俯瞰できる
- コストパフォーマンス比較ができる
- 弱みを補完するツールの組み合わせがわかる
今後、このスコアカードを使って様々なサービスを評価し、本当にユーザーにとって使いやすいツールを紹介していきたいと思っています。
ではまた。Have a good one!
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