この記事では、2024年にスイスの教育機関が行った英語能力調査の結果をお伝えします。
- 日本人の英語能力はどのあたりか
- 日本人の英語能力は向上しているのか
- 日本人に英語スキルは本当に必要なのか
自分の英語能力の計測方法と、それをどう活用するか知りたい人はぜひ最後まで読んでみてください。
【この記事を書いた人】
ITエンジニア系英語オタクです。米国企業での実務経験10年以上。アメリカには仕事で3年住みました。ブログを通じて「今すぐ英語を話せるようにならないとやばい人」へサバイバルキットの提供を目指しています。
2024年の結果は92位。順位は毎年落ちている
今回日本は116か国中92位。アジアでは23か国中16位でした。
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日本の順位は毎年右肩下がりです。日本人の英語能力が他国と比べて相対的に落ちていることを意味します。
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年齢別では10代から20代前半の順位の落ち込みが激しいです。
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18歳から25歳までとそれ以降の世代のグラフの形が明らかに違う理由が何なのかはわかりませんでした。2種類以上のデータソースを混ぜているように見えます。
この世界ランキングを集計したのはスイスの語学学校
集計したのはスウェーデン発祥、スイスに本部を置く私立の教育機関です。世界50都市以上で10言語を学べる直営学校への留学支援を行っています。社名はEF English Education Firstです。
英語能力指数ランキングは、EF社が116の国と地域で210万人が参加した英語試験の結果を指数化し、スコアの高い順に並べた結果です。
英語試験の名前はEF Standard English Test 略してEF SETです。
EF SETは無料で受験可能なオンラインの英語テスト
EF SETはオンライン形式で誰でもいつでも無料で受けられる英語の試験です。
科目はリーディングとリスニング。合計100点満点です。
試験結果はCEFRのレベルと共に通知されます。
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CEFR(セファール)とは外国語の習熟度を評価するための国際的な基準です。A1、A2、…から始まり、C2まで6つのレベルに分かれています。主にヨーロッパで利用されています。
CEFR : Common European Framework of Reference
集計データに偏りはあるものの、結果はCEFRと相関している
どんな人が受験したの?
任意の無作為抽出ではなく、意思のある人の自由参加です。
- 受験者は任意で受験した人々。その国全体のレベル を代表するわけではない
- 受験者の大多数が成人労働者または学業を修了したばかりの若年成人
- 成人受験者の年齢の中央値は26歳。全回答者の85%が35歳未満、99.7%が60歳 未満。
サンプリングに偏りはないのか?
以下の点で偏りがあると言えます。
- 自発的に試験を受けようとする人は学習意欲が高いと言える。だから「一般人の無作為抽出」よりスコアが高めに出ることは容易に想像できる
- このテストはネットがあればいつでもどこでも誰でも無料で受けられる。逆に言えばネットが普及していない国は参加機会が限られる
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この2点の偏りを排除したからと言って日本のランキングが大きく変わるようなことは想像しがたいです。
アジアでは韓国が抜けています。116ヵ国は経済規模ではなく、集計可能な数の受験者がいた国に限られているようです。
他の指標との相関は?
他のテストとの相関関係は以下の通りです。EF SETが満点だとTOEFL/TOEICを突き抜けます。
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ランキング結果をどう活かすか
ではこの結果を踏まえて、私たち日本人の英語学習者は何をしたらいいのでしょうか。
他人と自分を比べるのは不幸の始まり
自分のスコアを他国の人と比べても自分の語学力向上には寄与しません。
個人レベルではどんな試験も、比べるべきは過去の自分との差です。
テスト結果から自分なりに仮説を立て、明日から新しい工夫をすることが建設的なアプローチだと考えます。
日本人に英語スキルは必要か
「英語がペラペラになりたい」という願いから英語を学習するひとは多いと思います。
でも僕は一般の人が英語を話せなくても(それで本人が困っていない限りは)構わないという考えです。
しかしながらそれでも日本人にとって英語スキルは必要です。
その理由は検索サイトとAIの存在です。
現在ネット上の英語の割合は60%近く。それに対して日本語は3%未満です。
ベースデータの規模がこれだけ違えば、検索エンジンにしてもAIの回答にしても異なったレスポンスが来るのは容易に想像できるかと思います。
英語での検索結果から意外なヒントを得て日々の暮らしに役立てるのはとても有益です。
以下の動画は、イランで気候変動の啓蒙活動を行った方の課題提起です。
【要約】
00:00: 12歳のとき、イランでの大気汚染の影響を目の当たりにし、気候変動について学び始めた。中東の気温上昇は世界平均の2倍と知り、危機感を抱く。
00:45: 親戚に気候変動について話そうとしたが、誰も知らなかった。イランでは気候教育がほとんどなく、情報も英語が中心だったことに気づく。
02:07: 科学研究の大半が英語で発表されており、世界人口の75%が英語を話せない現状がある。これが気候変動への理解の壁になっている。
02:51: 国連のIPCC報告書も6つの公用語にしか公式翻訳されておらず、世界の大半の人が重要な気候情報にアクセスできない。
03:50: 世界の成人の40%が気候変動について聞いたことがなく、特にアフリカでは現地語の教育資料が不足している。
04:22: 日本やフィリピンでは気候変動が台風の悪化を招いているが、最も影響を受ける国々の多くは英語を母語としないため、情報格差が深刻。
06:18: 気候変動への取り組みには、世界中の人々を巻き込むことが重要。言語の壁を越えて行動を促すべきだ。
まとめ
- 2024年の英語能力指数世界ランキングの結果、日本は92位。順位は毎年落ちている
- この世界ランキングを集計したのはスイスの語学学校
- EF SETは無料で受験可能なオンラインの英語テスト
- 指標集計データに偏りはあるものの、結果はCEFRと相関している
- 受験者の大多数が成人労働者または学業を修了したばかりの若年成人
- 一般人の無作為抽出ではないのでスコアが高めに出ているはず
- 順位を他人と比べるのは不幸の始まり
- テスト結を踏まえて学習スタイルを改善するのが建設的なアプローチ
- 英語スキルは引き続き日本人にとって必要
EF SETの簡易版を定期的に受けて結果を記録することをおすすめします。
人間は不思議なもので記録をとると自己調整機能が働いて最適化されていくからです。
ではまた。Have a good one!
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