今回は、大人が短期間で英語を話せるようになる簡単で効果的なメソッドを紹介します。
この記事は次のような人におすすめです。
- 半年で英語をマスターしたい
- どうすれば効率的に英語を習得できるようになるか知りたい
- 早く英語がペラペラ話せるようになりたい
メソッドの発案者はニュージーランドの心理学/教育学/言語学者、クリス・ロンズデールさんです。
この記事では、クリスさんが香港の大学で行った講義の内容を、初心者にもわかりやすく解説しています。
記事は前編と後編に分かれています。
前編:5つの原則について(この記事)
後編:7つのアクションについて(次の記事。この記事の最後にリンクがあります)
短期間で英語をマスターしたい人は是非最後まで読んでみてください。
【この記事の著者】
僕は米国企業での実務経験10年以上。アメリカには3年住みました。チームで唯一の日本人。仕事のやりとりは100%英語です。
5つの原則
原則1:自分の身に直接関わるコンテンツを使う
まずは教材選びについて。英語の習得スピードを上げるには、コンテンツの選び方が重要です。
下の図は、あるコンテンツの意味、注目度、関連性、記憶がお互いに影響を与え合っている事を表しています。
つまり、自分の身に直接関わり、自分にとって意味があり、自分の注目に値するコンテンツほど記憶に残るということです。
原則2:初日から英語を使い始める
子供は、何か新しい語を覚えたらすぐ使い始めます。大人も同じように、覚えた英語は、日常生活の中ですぐ使うようにします。
簡単な名詞、動詞、形容詞を覚えたらすぐ使ってみます。多少発音が違うかも知れませんが、会話を経験する中で自然に矯正されていきます。
たとえ単語の羅列だけでも、相手とのコミュニケーションを成立させることは可能です。
「あなた」「わたし」「行く」「食事」
「これ」「なに?」
「肉」「食べる」
「わかりません」
「コーラ」「飲む」
覚えたての言葉が、実生活に役に立つと実感することが大事です。
入試レベルの複雑な文は読めても、生活に密着する身近な話題を簡単な言葉で言えない日本人は意外と多いのではないでしょうか。
原則3:人はメッセージを理解した瞬間に、無意識下でその言語を習得する
言葉だけでなくジェスチャーや表情、会話の状況などを総動員して相手のメッセージを聞き取るようにします。人の脳は、相手の意図がわかった瞬間に、無意識的に言葉を理解するようにできています。
これを「理解可能なインプット (Comprehensible Input)」と呼んでいます。
理解可能なインプットの方が、文法主体で学習するよりパフォーマンスが優れていることは、研究でも明らかになっています。
「理解可能なインプット」については、過去記事でまとめています。興味がある方はこの記事の終わりにリンクを貼ってあるので参考にしてください。
原則4:言語は知識の集積で「学習」するものではなく、生理学的に「習得」するもの
子供は、母国語を覚えるにつれ、次第に他の言語が聞き取れなくななります。その理由は、聴覚神経が母国語にない発音を脳に伝えなくなるからです。
このため、大人は新しい言語を聞き取ることができません。リーディングでこの問題を解決することは不可能です。
大量のリスニング:新しい言語で脳を浸す(brain-soaking)
リスニングを大量に行って、耳と脳が新しい音のパターンを認識できるようにします。
内容を理解できなくても構いません。理解できないことに不安になる必要もありません。
筋トレとしてのスピーキング:今まで使ったことのない顔の筋肉を鍛える
顔には43種類の筋肉があります。ネィティブと同じ発音で話せるように、今まで使ったことのない顔や口、喉の筋肉を鍛えます。
スピーキングの後に顔の筋肉が痛くなれば、正しくトレーニングできているということです。
原則5:リラックスしてトレーニングに取り組む
人はネガティブな精神状態では言葉を習得できません。緊張したり、悲しんだり、怒ったりしていると、新しい言葉を身につけるのは難しくなります。
すべてを完璧に理解しようとしないでください。できない自分にいら立ち、ストレスをためないようにしましょう。
むしろ曖昧さを受け入れ、リラックスしてトレーニングした方が習得効率は上がります。
前半のまとめ
この記事では、大人が短期間で英語を話せるようになる効果的なメソッドのうち、5つの原則について解説しました。
原則1:自分の身に直接関わるコンテンツで学習する
原則2:初日から英語を使い始める
原則3:人はメッセージの意味を理解した瞬間に、無意識下でその言語を習得する
原則4:言語は知識の集積で「学習」するものではなく、生理学的に「習得」するもの
原則5:リラックスしてトレーニングに取り組む
次の記事では、短期間で英語を習得するための7つの行動について解説しています。下のリンクからどうぞ。
参考記事
理解可能なインプット(Comprehensible input)に関する記事はこちらです↓
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