RSUを今すぐ売却すべきか? 考え方のヒント

外資系企業に勤めている人ならおなじみのRSU(Restricted Stock Unit – 制限株式ユニット)の売却タイミングについて考えてみました。

この記事は次のような人におすすめです。

  • VestされたRSUの合計が自己資産の相当額を占めるほどになってきた
  • RSUをこのまま保持し続けるべきか、それとも売却すべきか悩んでいる
  • RSUは海外の証券会社に預けてあり、売却や送金の手順がよくわからないため放置している
  • 売却した後の確定申告でどのぐらい税金を納めることになるのか把握できていない

この記事では、

  • RSU売却に対する考え方やそのタイミング
  • 海外の証券ブローカ(E*trade)を例に、売り注文から売却、送金、受け取り、現金化までのプロセス詳細
  • 売却に伴い準備すべき税金額の試算方法

について解説します。

僕はNASDAQ上場のアメリカ企業に10年以上勤めています。今まで受け取ったRSUは4,000株余り。その大多数をすでに売却し、別の投資商品で運用しています。もちろん新NISA枠フル活用です。

この記事を読むと、RSUに対する漠然とした不安が解消され、進むべき道筋が見えてきますよ。

RSUとは

RSU(Restricted Stock Unit)とは、勤め先から給与の一部として付与される自社株式のことです。ただし売却タイミングに制限があって、もらってもすぐに売却することはできません。このため従業員のつなぎ止めのために使われることもあります。

RSUは給与の一種

RSUは、株式をもらえる権利を得た時点(Release)では、「あ、そうなの。うれしいな」と思うだけのことで特に何ができるというわけではありません。ですが事前に決められた期間を過ぎると売却できる権利が生じます(Vest)。

税務的には、この時点で給与所得とみなされ、Vest時点の株価*付与された株式数*Vest時の円換算レートで確定申告をする必要があります。

Vestされる側としては、まだ売ってもいないのに税金だけとられるという、ちょっと悲しい状況になりますが、給与と考えればもらったお金に税金がかかるのは当たり前の話なんですね。
さらにRSUを売却すると、その株式譲渡利益に対して所得税、住民税がかかります。

RSUを持ち続けるべきか、売るべきか

答えは、

「今すぐ売るべき」

です。

なぜ売るべきなのか

理想とする投資ポートフォリオ案を持っている場合

  • あなたが理想とする投資ポートフォリオを既に持っている場合、RSUを受け取ったまま放置しておくと、資産の多様性を損なうことになってしまいます。ポートフォリオの主な目的は、企業固有のリスクを減らし、1社のパフォーマンス悪化が全体の投資パフォーマンスに大きな影響を及ぼさないように分散投資をすることです。
  • RSUを保持することで多様性が減少し、投資のリスクが増加してしまうことは避けた方が良いです。RSUを受け取った後、その株式を保持するか売却するかの選択肢は、純粋に投資判断です。投資としてRSUを評価する時は、それが既存のポートフォリオにどう影響するのかを考えてみましょう。
  • ポートフォリオが適切な資産配分に基づいて構築され、分散が効いた投資商品群(例:投資信託やETFなど)で構成されている場合、その中に単一の株式を置くことはポートフォリオの多様性を減らしてしまいます。つまりリスクが増える、ということです。
  • もし多様性を維持したいのであれば、RSU株式を受け取った際に売却することが賢明な戦略と考えられます。

まだ自分が理想とする投資ポートフォリオ案を決めていない場合

まだ自分が理想とする投資ポートフォリオを決めていなければ、その案を作ることが先決です。そしてその方針に沿って資産の移管を始めるべきでしょう。RSUを売ったお金で何に投資するか、はっきりしていないと投資対象の選定に手間どり、機会損失を招いてしまいます。

投資ポートフォリオ案とは簡単に言うと、

  • 自分が容認できるリスク額を決めること
  • 自分に合った安全資産とリスク資産の割合を決めること
  • その割合に従って許容リスクの範囲内で適切な資産クラスに対して投資を行うこと

です。

  • 今持っているRSUの総額が、耐えうるリスク資産額を超えているようであれば、超えている分のRSUを急いで売却すべきです。「長期・分散・低コスト」の観点で考えれば、そもそも個別株それ自体がリスクの大きな資産です。それにもかかわらず、RSUという会社の制度のために、大量のリスク資産を持つことになったのは、あなた個人としては想定外のはずです。
  • RSU株式を保持するかどうかの判断をするもう一つの方法は、同じ株式を今日、株式市場で購入するかどうか考えてみることです。多くの場合、その答えは「NO」ではないでしょうか。株式を購入するつもりがないのであれば、追加のリスクに対する十分な確信を持っていない可能性があります。リスク資産額を決めるためには、仮にリスク資産が暴落したときに耐えられるかどうかを自問します。

今まで投資ポートフォリオを一度も考えたことのない人は、以下の書籍をお勧めします。

例えば65歳でリタイヤするとして平均余命を考えると85歳くらいを平均的な寿命と見ると20年ですが、当然ながら「平均」よりも長生きする人がいるので、10年ほど余裕を見た老後期間が「30年」です。

例えば、「老後の生活費が月1万円減っても大丈夫」と思える人は、360万円の損を許容することができるので、その3倍である1080万円までリスク資産に投資できると考えます。

引用:山崎 元 水瀬ケンイチ 共著 「ほったらかし投資術」

本書 では 取崩し 期 において、 全 資産 の 最大 損失 割合 を「 25% 程度」 に 抑える こと を 推奨 し ます( これ が 投資 後半 の ポートフォリオ 決定 の ポイント となり ます)。

引用:カン・チュンド著 「つみたて投資の終わり方」

RSUをいつ売るべきか

  • RSUはVestされたタイミングですぐ売るのが理想です。ですが、毎回少しずつVestされる株式を、その都度売っていたのでは手数料がかかります。実際には年1回程度、数百万円単位で売るのが良いと考えます。
  • RSU株式をVestingと同時に売却することで、予期せぬ会社のパフォーマンスの低下から自分の資産を守ることができます。

RSUをどうやって売るか

  • 売却手順をルール化し、その時々の株価に躊躇することなく粛々と売却します。株価が下落している局面で売るのはメンタル的に難しい事ですが、決断できずにいると、いつまでたっても売れなくなってしまいます。
  • 暴落は明日突然発生するかも知れません。もちろん値上がりするかも知れません。問題なのは「その予測が極めて難しい」ということです。
  • いつ何株売るか、最初にルールを決めたら、そのルールに従って売却を進めます。その時々の株価をRSU売却の判断材料にすると躊躇してしまいます。躊躇しないためには、売却後のお金をどう活用するのかを明確にしておきましょう。
  • RSUを売ったお金で買う投資対象を事前に決め、証券会社のサイトで強制的に「自動積立設定」するのもひとつの方法です。こうしておくと、次回の積み立てまでに嫌でもRSUを売らないといけない状態になるからです。

支払う税金の準備

株式譲渡利益に対して約20%の税金がかかります。また予定納税もかかる可能性があります。原資を確保しておくことが必要です。譲渡利益の20%を所得税および住民税支払い用に現金を引き当てて置き、さらに所得税の2/3を予定納税支払い分としてとっておいたほうが良いと思います。

まとめ

・RSUが、保有する金融資産に対して無視できない割合に達する前に、ポートフォリオに基づいて売却を進めましょう。

・ポートフォリオを持っていなければ、先に自分自身のポートフォリオ案を作ることが先決です。


・RSUは事前に決めたルールの従って粛々と売却し、早期にご自分が理想とするポートフォリオを完成させましょう。

・株式譲渡利益に対して約20%の税金がかかります。さらに所得税の2/3を予定納税支払い分としてとっておいたほうが良いでしょう。

※最後に
この記事に掲げた情報を利用することで生じたいかなる損害についても、当サイトはその責任を負いません。金融商品の選択、購入、売却など投資に関わる最終決定はくれぐれもご自身の判断で行って頂くようお願いいたします。

では良い1日を。Have a good one!

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