この記事は以下のような人におすすめです。
- 英語を学習中。将来は字幕なしで映画が見られるようになりたい
- 海外ドラマの英語がいつまでたっても聞き取れない
- 何をすれば海外ドラマを聞き取れるようになるのかわからない
「いつか字幕なしで好きな映画が観たい」というのは、多くの英語学習者の夢ですよね。
でも自宅で動画を見ているアメリカ人の57%が字幕をオンにしているのを知っていますか?
その理由は「セリフが聞き取りづらいから」です。
背景にあるのはテクノロジーの進化です。
でもなぜ進化したのに逆に不便になったのでしょう?
この記事ではその理由と、どんな動画なら日々の英語学習に役立つのかを解説します。
【この記事を書いた人】
外資系企業での実務経験10年以上。アメリカには仕事で3年住みました。ブログを通じて「今すぐ英語を話せるようにならないとやばい人」へのサバイバルキットの提供を目指しています。
理由1:マイクロフォンの進化
従来の撮影現場では、ブームマイクで複数の声を拾っていました。このため俳優は、自身とマイクの距離を意識して自分の声が届くようにはっきりとセリフを言っていました。
ところが小型のワイヤレスマイクの登場で、俳優一人ひとりにマイクが割り振られるようになりました。
これにより、俳優が小声でボソボソ言っても問題なく収録できるようになりました。
結果としてセリフにリアリティが増した半面、視聴者にとっては不明瞭で聞き取りづらいものになりました。
理由2:ダイナミックレンジの拡大
ダイナミックレンジとは、最小/最大音量の幅のことです。録音機材の進化で、人のささやきからビルの爆発音まで、幅広い音をサポートできるようになった反面、人の会話が相対的に小さくなってしまいました。
理由3:リミックスによる音質の低下
ドルビーアトモス( Dolby Atmos)という言葉をご存知ですか?従来のサラウンドシステムの水平方向の音の広がりに加えて、縦方向にも音が動くように開発された音響技術のことです。
これ使うと、例えば、左前方から飛び立った鳥の群れが、頭上を越えて右斜め後方に飛んでいく音が体感できます。
このドルビーアトモスは音声チャネルがなんと128トラックもあります。この音源を忠実に再生できるのはアトモスに対応した映画館などです。
これを家庭のテレビやタブレット、スマホで視聴できるようにするには、128チャンネルの録音データを左右2チャンネルにまとめ直す必要があります。これをダウンミックスと呼びます。
このダウンミックスの過程で音声データが間引きされ、会話が聞き取りづらくなってしまいます。
ここまでをまとめると
最近の海外映画やドラマは、ネイティブでも聞き取れないぐらい難易度が上がっています。
その理由は次の通りです。
- マイクの性能が上がって俳優が小声で話すようになった
- ダイナミックレンジが上がって会話シーンの音量が相対的に下がった
- 普段テレビやタブレット、スマホで視聴している動画はオリジナルと同じ音質ではない
ではどうしたらいいの?
映画やドラマはご褒美だと思って楽しむ
こだわりやがんばりを捨てて、聞き取れなかったらさっさと字幕をONにしましょう。
ネイティブすら聞き取れないコンテンツにチャレンジしても時間の無駄になってしまいます。
この記事で伝えたかったのは、聞き取れないからと言って英語学習そのものをあきらめないで欲しいということです。今回記事にした内容は聞く側のせいではないからです。
英語教材コンテンツは別のジャンルから探す
おすすめは会話が主体のコンテンツです。具体的には、インタビュー番組やドキュメンタリーなどです。
たくさん見てネタを仕込んでおくと、ネイティブと話をしているときに「なんでそんなことまで知ってるの?」と興味を持ってもらえますよ。
いくつかご紹介します。
インタビュー番組
会話がメインなので音声が聞き取りづらいということはまずありません。
The Ellen show
アメリカ版「徹子の部屋」のような番組(もっと過激です)
The Tonight Show
NBCテレビの人気深夜トーク番組
ドキュメンタリー番組
ナレーションがメインなので音声は比較的はっきりしています。
おすすめ動画
Vox
アメリカ社会にとって大事なテーマを素人にもわかりやすく解説
Hope For Paws
捨てられた犬や猫を保護して里親につなげるNPOの活動記録
まとめ
- アメリカ人の約6割が映画やドラマのセリフが聞き取りづらいと感じている
- その理由は、テクノロジーの進歩で撮影現場の録音形態が大きく変わったから
- 劇場向けの音声が最新技術で作りこまれている反面、自宅で鑑賞するような動画データは音声品質が高くない
- 映画やドラマは日頃の勉強のご褒美だと思って楽しむ
- 教材としての動画はインタビュー番組やドキュメンタリーなどがおすすめ
外国語学習ツールのLingQを使えば、好きなWebコンテンツをインポートして教材化できます。興味のある方は以下のリンクからチェックしてみて下さい。
それではまた。Have a good one!
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